2006年、兵庫県で国体が開催された時の事です。
私が所属している団体が、トライアスロンの選手をケアすることが決まり、その団体に
所属している私も、言うまでもなくそのケアに参加することになりました。
「ケア」というのは基本的にはスポーツマッサージということだったのですが、なにせ競技に参加している人数が400人以上という、とてつもない人数でしたので、かなりの選手がケアに来ることが予想されました。
ベッドは、8台。
さて、この人数をどのようにさばいていくのかという問題に直面したわけです。
案の定、試合後にトライアスロンの選手がスポーツケアのところに大波のように押し寄せてきたわけです。

施術する人数とケアに来る選手のバランスがはっきり言って全くつりあっていません。
もちろん、そういうことは最初から百も承知だったのですが、普通にマッサージしていては
絶対に時間がかかってしまうことは明らかでした。
これは、私以外の先生達もそのように感じていたと思いますが、なすすべもなく、なんとか
現状を乗り越えるためにマッサージをするしかないという状況でした。
そんな思いを巡らせている内に、一人の選手が私の元にやってきたわけです。
「仕方ない・・・考える前にやってしまえ!!」
ということで、その選手の体を触りだしたのですが・・・
やたらに・・・硬い、そしてマッサージが全く効かない。
これはこのままやり続けると信用にかかわる事態であることは明らかでした。
選手からはきっと、「遅い!!」「ケアなんて口だけだな!!」「もっと人数を用意しろ!!」
「全然筋肉がほぐれないじゃないか!!」というようなクレームが続出することは目にみえていたのです。
「これではいけない・・・。」
私のアタマはフル回転状態になりました。臨床でどんな技術を使っても目の前の患者さんが全く改善しない時とそっくりな状態になったのです。
その時に、ふと臨床で効果が出始めていた、あるテクニックをやり始めたのです。
そう、今回のマッスルアクションテクニックの原型とも言える、
「動かしながら」「押圧」という施術を直感的に行っていたのです。
選手の筋肉が物の見事に瞬時にどんどん柔らかくなっていくのがわかりました。
そして痛みを訴えてくる選手までもがどんどん改善できるので、私のベッドには行列ができ、
そして、どんどん選手が満足顔で帰っていくのです。
さすがに隣で施術をしていた先生から、
「おい、戸田君、君は何をしているのか?」と不思議そうな顔で聞かれる程、選手を改善させていったのです。
お陰で私が任された選手を全て施術することができて、なおかつケアを受けた選手からは、施術院の場所まで聞かれる程に効果を出すことが出来たのです。
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